ポルシェ初の車356

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356が作られるまで

ポルシェ356の誕生は、1948年6月8日に遡ります。オーストリアのカリンティア地方、グミュントで製造されたこの車は、ポルシェの名を冠した最初のスポーツカーであり、ポルシェ356 No.1ロードスターとして知られています。俗に“グミュント ロードスター”と呼ばれるこの車には、フォルクスワーゲン社製の1.1リッター空冷式水平対向4気筒エンジンが搭載され、最高出力は35PSに向上。車両重量はわずか585kgで、最高速度は135km/hに達しました。このような優れた性能を持つ356は、後に続くポルシェの車両設計に大きな影響を与えることになります。

フェルディナンド・ポルシェの息子であるフェリー・ポルシェは、父親と共にこの車の開発に深く関わりました。彼は“自分が求める車がどこにもなかったため、自分自身のために作ることにした”という有名な言葉を残しています。この決断が、356の誕生へと繋がりました。356 No.1ロードスターは、VWビートルから取ったトランスミッションやエンジン、コンポーネントを使用しており、これらをポルシェのエンジニアリングで改良することで生まれました。

356 No.1ロードスターをベースに、次に試作されたのが356/2と呼ばれるモデルです。この車は、クーペボディでリアエンジンを採用し、現代のポルシェに通じる設計となっています。さらに、1950年には初のクーペが登場し、4気筒水平対向エンジンは40PSを発揮。リアに搭載されたこのエンジンは、後のポルシェ911にまで受け継がれる要素を持っています。

356の特徴

ポルシェ356は、その特徴的なデザインと技術で多くのファンを魅了しました。初代356、通称“プリA”は、センターバーで分割された2ピースのフロントウインドウによって一目で認識できました。1952年モデル以降は、中央部が湾曲したシングルピースのフロントウィンドウに変更され、より洗練されたデザインとなりました。

356シリーズには、オープントップモデル(カブリオレ、スピードスター、ロードスター)が導入され、特に356Aは1955年に大きく改良されました。356Aは新たに曲面のフロントガラスと二重のエンジンカバーが採用され、名探偵コナンの悪役「ジン」の愛車としても知られるため、若者の間でも高い知名度を誇っています。

また、356はその軽量な車体と高いパフォーマンスで、数多くのレースで成功を収めました。エンジンは1.1リッターの空冷式・水平対向4気筒から始まり、後には1.3リッター、1.5リッターのエンジンがオプションとして提供されました。1952年には、ポルシェ独自のオール・シンクロのトランスミッションも登場し、リアエンジンのスポーツカーとしての特徴を強化しています。

現在の356

現在、ポルシェ356はクラシックカー愛好家やコレクターにとって非常に人気の高い車種です。特に初期のモデルや限定生産されたモデルは高い価値を持ち、多くのオークションで高額で取引されています。356.001は現在、ポルシェ博物館に展示され、その歴史的価値が認められています。

356は現代のスポーツカーの設計に多大な影響を与えました。リアエンジン・レイアウト、水平対向エンジン、軽量な車体などの特徴は、現在のポルシェ911にまで受け継がれています。356の設計思想は、ポルシェブランドのDNAとして今もなお息づいており、ポルシェファンにとって永遠に愛される存在です。

ポルシェ356は、その誕生から75年以上が経過した今でも、その革新性と美しさで人々を魅了し続けています。新しい世代のポルシェオーナーにとっても、356はポルシェの原点として尊敬と憧れの対象となっているのです。