電動旗艦タイカン ターボSの性能を深掘り

高電圧技術が支える出力性能
ポルシェのEVラインアップにおける最上位モデル「タイカン ターボS」は、電動フラッグシップの名にふさわしい出力性能を備えています。通常時の出力は625馬力(460kW)、ローンチコントロール作動時には最大761馬力(560kW)に達し、短時間で強烈な加速力を引き出せます。
このパフォーマンスの中核にあるのが、ポルシェが開発した800Vの高電圧システムです。従来の400Vシステムに比べて配線を軽量化でき、熱効率も高く、繰り返し高出力を発揮しやすい構造となっています。モーターやインバーターの冷却効率も工夫されており、長時間のスポーツ走行にも対応できます。
大出力を生みながらも、安定した走行フィールを維持する仕組みが、このモデルの完成度の高さを支えています。
俊敏な加速と優れた車両制御
0‑100km/h加速は、タイカン ターボSで2.4〜2.5秒前後。ローンチコントロールを活用することで、EVならではの瞬時のトルクを活かした力強いスタートが可能です。数値としてもガソリンエンジンのスーパースポーツと肩を並べる水準です。
前後2基の電動モーターによる四輪駆動制御は、路面状況やドライバーの入力に即座に反応し、最適なトルク配分を行います。また、電子制御式のエアサスペンションとポルシェ・アクティブサスペンション・マネジメント(PASM)により、日常の快適性と高負荷時の安定性の両立が図られています。
俊敏さだけでなく、ステアリング応答の精度やブレーキバランスも緻密に制御されており、サーキットでも安心して走れるパッケージが整っています。なお、「Weissach Package」については、現時点でタイカンシリーズへの正式な設定は確認されていません。
実用性を高めるバッテリーと充電性能
タイカン ターボSには、93.4kWhの「Performance Battery」が標準で搭載されています。また、上位仕様として「Performance Battery Plus(105kWh)」も用意され、有効容量は約97kWh。航続距離は欧州WLTP基準で最大504km(仕様により変動あり)を記録しています。
充電性能も充実しており、800Vシステムに対応したDC急速充電では、最大で約320kWの入力が可能。理想条件下では10%から80%までの充電が約18〜22分程度で完了します。日常使用や長距離ドライブでも安心できる設計です。
AC充電にも対応しており、自宅ガレージでの普通充電も現実的です。ハイパフォーマンスカーでありながら、日常性とのバランスがとれた設計が、EVの次世代像を体現しています。